3歳でしりとりができるのは早い?最初は「ドア→コアラ」だった息子を研究してみた

3歳でしりとりできるのは早い?

「3歳でしりとりができるのは早いのか?」というテーマについて,ヌクレ博士が研究します.

最近,ボス3歳と普通にしりとりをしています.今は3歳8か月くらいですが,思いつく言葉がなくなるまでかなり長く続くし,「ん」が付いたら負けなのも理解している.同じ言葉もなるべく使わないし,たまにわざと「ん」で終わる言葉を言って笑っています.

完全にルールを理解して遊んでる.でも,ふと思いました.待てよ.3歳って,こんな普通にしりとりできるんだっけ?

調べてみると,これが思っていたより面白かったです.2024年の研究では,3〜6歳の幼児に実際にしりとりをさせたところ,しりとりができるようになる時期はおよそ5歳頃と推定されていました.しかも我が家で昔やっていた「ドア→コアラ」という謎の間違いも,調べてみるとかなり意味のある間違いだった可能性があります.

では蓋を開けてみよう.

結論:3歳8か月でしりとりが長く続くのは,かなり早そう

2024年に発表された研究では,3〜6歳の幼児を対象にしりとりを行い,3往復できれば「しりとりができる」と判定しています.その結果,50%の子どもができると推定された年齢は56.2か月,つまり約4歳8か月でした.研究全体としては,しりとりは5歳頃にできるようになると推定されています.

しかも判定基準は「3往復」です.ボス3歳は今,3往復どころか思いつく言葉がなくなるまで続けられる.「ん」で負けることも理解しているし,同じ言葉をなるべく避けることも分かっている.

なので,少なくともこの研究と比較する限り,3歳8か月で現在のレベルまでしりとりができているのは,かなり早い方と考えてよさそうです.

ただし,「3歳でできるから上位○%」「頭がいい証拠」みたいなことまでは言えません.家庭でどれくらいしりとりを経験したかでも結果は変わるでしょうし,我が家でもこちらから教えています.あくまで,発達時期としては比較的早そう,という話です.

最初からしりとりができたわけではない

ここが今回,一番面白かったところです.ボス3歳は,最初からしりとりのルールを理解していたわけではありません.僕らが教え始めた頃は,そもそも「最後の音を次の言葉の最初に持ってくる」というルールがよく分かっていなかったみたいです.

例えば僕らが「ドア」と言うと,「コアラ」と返ってくる.違う違う.「あ」はいるけど,そこじゃない.

ほかにも「ドア→ココア」みたいなこともありました.どうやら当時は,「最後が“あ”だから,次は“あ”から始まる言葉」というより,「“あ”が入っている言葉を言えばいい」と理解していたように見えます.

その状態から,だいたい1か月くらいかけて少しずつルールを理解しました.3歳頃にはある程度しりとりができるようになっていて,最近になって一気に長く続けられるようになった印象です.

当時は単純に「コアラじゃないよ.“あ”から始まらないとダメだよ」くらいに思っていました.でも今回調べてみると,まさにそこがしりとりの難しいところでした.

しりとりって,思ったより複雑な遊びだった

しりとりをするには,単に言葉をたくさん知っていればいいわけではありません.「りんご」と言われたら,まず「り・ん・ご」という音の中から最後の「ご」だけを取り出す必要があります.そのうえで,頭の中にある言葉の中から「ご」で始まる言葉を探さなければいけない.

研究では,こうした「言葉を音のまとまりとして捉え,必要な音を取り出したり操作したりする力」を音韻意識と呼びます.しりとりが一人でできるようになるためには,語尾の音を取り出し,その音を語頭に持つ言葉を検索するような力が必要だとされています.

つまり「ドア→コアラ」という昔の間違いは,「あ」という音そのものには気づいていたけれど,その音を語尾から切り出して,次の単語の先頭へ持ってくるところまでは理解していなかった可能性がある.

これ,結構すごくないですか.育児している側からすると,ただの可愛い言い間違いです.でも後から研究を読むと,子どもが言葉をどう扱えるようになっていったのか,その途中経過をたまたま見ていたようにも見える.

もちろん,ボス3歳の「ドア→コアラ」を研究者が検査したわけではないので,これは我が家のエピソードと研究を照らした僕の考察です.でも,めちゃくちゃ面白い.

文字を読めるようになるより,しりとりの方が先だった

もう一つ気になったことがあります.以前の記事で書いたように,ボス3歳は今ではひらがなやカタカナをかなり読めます.漢字にも興味を持っていて,「山手線」の「手」を見て「のて」と読んだり,「入口」を「ひとくち」と読んだりしていました.

でも記憶をたどると,しりとりができるようになった方が先だったはずです.

これ,僕は最初,「音を扱えるようになったから,その後文字も読めるようになったのかな?」と思いました.ところが研究を調べると,そんな単純な一本道ではなさそうです.

幼児を調べた研究では,かな文字を読む力と音韻意識には強い関連が認められています.月齢や語彙などを考慮しても両者の関連は残っており,文字を読む力と音を意識する力は密接に関係していることが示されています.

つまり,「しりとりが先だから文字が読めるようになった」とまで言うのは難しい.文字を覚えることが音への意識を高める可能性もあるし,逆方向の影響も考えられる.おそらく,いろいろな言葉遊びや文字への興味が互いに影響しながら伸びていくのでしょう.

なので我が家について言えるのは,文字をほとんど読めなかった頃から,言葉の“音”を使った遊びは始まっていた.ここまでです.

→ 「3歳で漢字が読めるのは珍しい?」の記事はこちら

https://www.d-life.nucleotide-blog.com/child/3-year-old-reading-kanji

そういえば,しりとりより前から替え歌を作っていた

ここでさらに思い出したことがあります.ボス3歳は,しりとりより前から替え歌が好きでした.2歳後半頃,もしかするともっと前から,知っている歌の歌詞を勝手に変えて遊んでいたんです.

例えば乗り物が次々に登場する歌で,元のリズムに合わせて出てくる乗り物を別の乗り物へ変える.親がやらせたというより,多分本人が勝手に始めました.僕らが変な乗り物を入れて間違えると,面白そうに笑っていました.

これもしりとりと同じで,文字を読むよりずっと前です.じゃあ,替え歌をよく作っていたから,しりとりも早かったのか?と思って調べました.

ぶっちゃけ,そこまで都合のいい研究は見つかりませんでした.

音楽や韻を使った遊びと音韻意識の発達に関連があることを示した研究はあります.ただし,「幼児が替え歌を作る→しりとりが早くできる」という直接的な因果関係を示す研究ではありません.

なので,「うちの子,替え歌してたからしりとりが早かったんだ!」と断言するのは無理です.でも,文字を覚える前から,歌の歌詞を入れ替えたり,音を変えて笑ったりしていた.その後しりとりを覚えて,さらにその後文字への興味が強くなった.

この順番を見ると,少なくともボス3歳は昔から言葉そのものを遊び道具にするのが好きだったんだろうな,とは思います.

しりとりに興味を持った子は,絵本で遊ぶのもよさそう

我が家では親と普通にしりとりをしていましたが,まだ語彙が少ない時期なら,絵を見ながら遊べるしりとり絵本を使う方法もあります.例えば『しりとりしましょ! たべものあいうえお』のように,文字がまだ読めなくても絵を見ながら言葉を探せる本があります.

https://link.amazon/B00yuss3O

実際に我が家で使っていた本ではないので,「これでしりとりができるようになった」という意味ではありません.あくまで,しりとりに興味を持ち始めた子と遊ぶ選択肢の一つです.

しりとりで大事なのは「できる年齢」だけじゃなかった

今回調べるまでは,「3歳でしりとりができるのって早いのかな?」という単純な疑問でした.蓋を開けてみると,確かに研究上はかなり早そうでした.50%通過年齢は約4歳8か月で,研究では5歳頃にできるようになると推定されています.

でも個人的には,そこよりも面白かったことがあります.「できた」「できない」の間に,ちゃんと途中があったことです.

最初は「ドア→コアラ」だった.「あ」という音には気づく.でも位置が違う.そこから「最後の音を取り出す」「その音から始まる言葉を探す」「“ん”なら負け」「前に言った言葉はなるべく使わない」と,少しずつゲームのルールそのものを理解していった.

今ではわざと「ん」で終わって笑っています.

ルール理解したうえで負けに行ってるじゃん.

成長したなあ.

こういうのって,毎日見ていると普通に過ぎていきます.でも研究と照らしてみると,子どもの頭の中で結構複雑なことができるようになっていたんだと分かる.3歳でしりとりができること自体も面白かったけれど,僕としては「どうやってできるようになったのか」の方がずっと面白かったです.

これからも無理に教えるつもりはありません.替え歌でもしりとりでも文字でも,本人が面白がっているなら一緒に遊ぶくらいでいい.そのうち親の方がしりとりで負ける日が来るんでしょう.

というか,すでに知らない魚の名前とか出されたら普通に負けそうです.

以上,ご清聴ありがとうございました.

参考文献

・田中駿ほか「しりとりを通してみた幼児の言語発達」『LD研究』33巻2号,2024.
・高橋登「幼児のことば遊びの発達―“しりとり”を可能にする条件の分析」
・丹治敬之ほか「年少から年長幼児におけるかな読みと音韻意識の関連」『LD研究』29巻4号,2020.