※この記事は『PSYREN -サイレン-』原作最終盤までのネタバレを含みます.
「PSYRENは打ち切りだったのか?」というテーマについて,ヌクレ博士が研究します.
『PSYREN -サイレン-』は,僕が当時ジャンプ本誌でかなり好きだった漫画です.雨宮は覚えてる.暴王の月も覚えてる.星将も覚えてる.エルモア・ウッドも覚えてる.未来のマリーがめちゃくちゃ可愛かったことも覚えてるし,八雲祭がカッコよかったことも,天戯弥勒のセフィロトがクソカッコよかったことも覚えてる.
ところが今回,記事を書くためにストーリーを調べ直していたら,「小惑星ウロボロス」という名前が出てきました.
……誰?
いや,誰じゃない.小惑星です.しかも調べれば調べるほど,こいつが物語の核心にめちゃくちゃ関係してる.
俺,大好きだった漫画の核心を丸ごと忘れてるじゃん.
なんでだよ.そこから気になったのが,「PSYRENって打ち切りだったんだっけ?」という昔から言われ続けている話です.
では蓋を開けてみよう.
結論:公式に「打ち切り」と確認はできない.でも,かなり打ち切り寄りに見える
最初に検索している人が一番知りたい答えを出します.僕が調べた範囲では,集英社や岩代俊明先生が「PSYRENは打ち切りでした」と公式に説明している一次資料は確認できませんでした.
少年ジャンプ+では現在も「完結済み」とされていますし,単行本も全16巻.最終巻にはアゲハと弥勒の最終決戦からLAST CALL「繋がる世界」まで収録され,物語そのものはちゃんと終わっています.だから,「打ち切りになって話の途中でブツ切りになった漫画」ではありません.ここは結構大事です.
でも一方で,掲載順を見るとだいぶ怪しい.掲載データでは全145話の平均掲載順は14.1.さらに終盤は誌面のかなり後ろが続き,最後の6話は18位,19位,19位,19位,19位,19位.最終回も19位でした.
もちろん,掲載順だけで打ち切りを100%証明することはできません.でも,「いやいや,これは余裕たっぷりで作者の予定どおり完走しました!」と言われても,
いや,本当に?
とはなる.
ぶっちゃけタイム開始です.ネットには「PSYRENは打ち切りだった」と自信満々に断言している記事が山ほどあります.じゃあ公式情報は?蓋を開けてみると,意外とない.
お前ら何を根拠にそんな自信満々なんだ.
とは思いました.ただし,公式に確認できないから「打ち切りではなかった」と反対方向に断言するのも違う.
なので僕の結論は,公式に打ち切りだったとは確認できない.ただし,終盤の掲載状況と展開の圧縮を見る限り,当初想定より早く物語を畳んだ可能性はかなり高そう.でも未完ではなく,ちゃんと完結はしている.です.これが一番フェアだと思います.
それでも僕はPSYRENがめちゃくちゃ好きだった
ここまで打ち切りの話をしておいて何ですが,僕はPSYRENがかなり好きです.そもそも序盤が強い.赤いテレホンカード.突然消えた雨宮.全国で起きる神隠し.謎の「秘密結社サイレン」.訳の分からない場所へ飛ばされて始まる命懸けのゲーム.
当時ジャンプを読んでいて,これ何なんだ?ってなる導入がめちゃくちゃ良かった.しかもそこから,作品がどんどん能力バトル漫画へ変わっていく.普通なら「最初のミステリーどこ行ったんだよ」となりそうなのに,僕は後半のバトル展開も普通に好きでした.
雨宮が可愛い.でも僕が刺さったのはそこだけじゃない
まず雨宮桜子です.とにかく可愛かった.これはもう仕方ない.ただ,僕が雨宮を好きだった理由って,見た目だけじゃなかったんだと思います.
雨宮って,結構な地獄を通るんですよね.最初から心にいろいろ抱えているし,追い詰められるし,壊れそうになるし,人との関係の中で心理も少しずつ変わっていく.僕はこういうのにめちゃくちゃ弱いです.
最初から最後まで元気で強いキャラクターもいい.でも,苦悩して,傷ついて,それでも少しずつ変わっていく人間ドラマの方がグサグサ刺さる.PSYRENには能力バトル以上に,そういう人間の部分がちゃんとありました.
最後に雨宮がちゃんと報われる方向へ行くのも好きです.物語の始まりでは雨宮が「助けて」と消えて,アゲハが彼女を追いかける.そして最後は,2人が並んで次の誰かを助けに行く.
こういう最初と最後がつながるやつ.弱いんですよ僕.
暴王の月なんて好きにならない男子いる?
そしてアゲハの代表技,暴王の月.メルゼズ・ドア.
黒い球です.強いです.終わり.
いや,黒い丸の強い必殺技なんて中学生男子が嫌いなわけないだろ.
名前が「暴王の月」ですよ.しかもメルゼズ・ドアですよ.厨二病の満漢全席です.当時めちゃくちゃ好きでしたし,今見ても好きです.こういうのでいいんだよ少年漫画は.
エルモア・ウッドの未来登場はずるい
そして,僕の記憶にものすごく残っているのがエルモア・ウッドです.現代では子どもだったキャラクターたちが,未来のサイレン世界では成長して強くなって登場する.
こういうのズルくない?
昔守る側だった子どもが,大人になって今度は主人公たちを助ける側になって出てくる.熱くならないわけないだろ.
しかもマリー.子どもだったあの子が,未来に行ったらめちゃくちゃ大人っぽくなってて可愛い.
こんなことある!?漫画かよ!
漫画です.でも最高です.過去と未来を行き来する作品だからこそ,「あの子がこんなふうに成長した」という時間そのものを演出に使える.PSYRENの未来設定って,こういうところでは本当に強かったと思います.
ダメっぽいのに頼りになる師匠にも弱い
八雲祭も好きでした.普段はちょっと適当そうなのに,ちゃんと強い.必要なところでは頼れる.アゲハたちにPSIやサイレンについて教える師匠ポジションです.
僕,こういう人に弱いです.普段から威厳満点の完璧超人じゃないんですよ.ちょっとダメっぽい.でも本当にヤバい場面では頼りになる.最高の師匠です.自来也とか,クロスとか
敵までちゃんとカッコいい
W.I.S.Eも好きでした.星将とのバトルは今でも「熱かった」という記憶が残っています.シャイナ,ドルキ,ジュナスたちが出てきて,味方側が普通にボコボコにされる.その中で兜みたいな「最初こんなに重要キャラだと思ってなかったぞ」という奴まで最後まで食らいつく.
そして敵の中心にいる天戯弥勒.こいつの能力,生命の樹.セフィロト.カッコよすぎる.巨大な樹みたいな能力ですよ.暴王の月といいセフィロトといい,岩代先生は中学生男子の心のどこを押せばいいか分かりすぎている.
しかもW.I.S.E側も,ただ「悪い奴だから世界を滅ぼします」で終わらない.弥勒の過去やグリゴリ崩壊の話まであって,敵側にもちゃんとドラマがあります.僕は結局ここなんだと思います.技がカッコいいだけでも好きにはなる.でも,人間ドラマまであると一気に刺さる.PSYRENはそこが強かった.
なのにウロボロスを完全に忘れていた
ここまで好きだったところを並べると,自分でも改めて思います.俺,めちゃくちゃPSYREN好きじゃん.
なのにですよ.小惑星ウロボロス.全然覚えてない.調べ直すと,ウロボロスは終盤に突然出てくるどうでもいい小ネタではありません.世界崩壊そのものに関わる,かなり重要な存在です.最終盤では,W.I.S.Eとの戦いだけでなく,ウロボロスと世界の崩壊をどう止めるのかまで物語の核心になっていきます.
……全然覚えてない.
これ,結構な問題じゃない?
雨宮のことは覚えている.暴王の月も覚えている.八雲祭も覚えている.星将も覚えている.エルモア・ウッドが未来で成長したことも,マリーが可愛かったことも覚えている.なのに,世界が滅びた理由の核心だけ記憶から消えている.
もちろん僕の記憶力がクソなだけという可能性はあります.ありますが,僕自身のPSYREN評としては,ここは結構重要です.僕にとってPSYRENは,キャラクターも,能力も,途中の展開もめちゃくちゃ刺さった.でも最後に作品全体を一本につなぐ「世界の真相」だけは,そこまで強く刺さらなかった.作品だったのかもしれません.
だから「めちゃくちゃ好きな漫画」ではあるのに,「人生最高のジャンプ漫画」とまでは言ってこなかった.今回調べ直して,その理由が少し分かった気がしました.
終盤の駆け足が,物語の核心を弱くしたのかもしれない
ここからは僕の考察です.もしPSYRENが当初の構想より早く終わることになったのだとしたら,その影響を一番受けたのは終盤の世界設定を読者に飲み込ませる時間だったんじゃないかと思います.
弥勒.グリゴリ.W.I.S.E.ウロボロス.世界崩壊.未来改変.最終決戦.終盤に説明して決着させなければいけないものが多い.しかもPSYRENの強みって,そこまでに積み上げたキャラクターやバトルにもあるので,そっちの決着も必要になる.
詰め込みますよね.そりゃ詰め込む.そして実際,最終巻だけでもアゲハと弥勒の決戦から世界崩壊,その先の「繋がる世界」まで一気に進みます.
物語としては終わっている.でも僕の頭には残らなかった.これってもしかすると,説明が足りなかったというより,感情として咀嚼する時間が足りなかったんじゃないかなと思います.
ウロボロスが何なのか理解するだけなら読めば分かる.でも,「うわ,全部ここにつながってたのか!」と腹の底まで落とすには,もう少し時間が欲しかった.PSYRENって序盤の謎はすごく上手いんです.雨宮が消えた.サイレンって何だ.この世界は何だ.一つずつ謎が増えて,少しずつ答えが見えてくる.
だからこそ最後の一番大きな答えも,もう少しじっくり見たかった.これは「終盤が駆け足だった=作品がつまらなくなった」という単純な話ではありません.むしろ逆です.
途中まであれだけ好きだったから,最後の核心まで同じくらい強烈に刺さってほしかった.
そこだけが惜しい.
だから2026年のアニメにはめちゃくちゃ期待している
そして2026年10月,PSYRENがついにアニメになります.しかも原作の途中までではなく,物語の完結までアニメ化することが発表されています.
約15年越しです.
遅えよ.どんだけ待たせるんだよ.
でも,今だからこそできることもあると思っています.
僕がアニメ版に一番期待しているのは,作画でも暴王の月のエフェクトでもありません.いや,暴王の月はめちゃくちゃカッコよくしてほしいです.そこは絶対です.
でも一番は,原作終盤を丁寧にやってほしい.
ウロボロスとは何なのか.世界崩壊とどうつながっているのか.弥勒たちが何を背負っているのか.そこまで積み上げてきた物語が,最後にどう一本につながるのか.ここを原作より少し丁寧に見せてくれたら,僕のPSYRENへの評価はかなり変わると思います.
だって,材料はもう全部あるんです.序盤の都市伝説ミステリーは面白い.雨宮の人間ドラマは刺さる.暴王の月はクソカッコいい.星将とのバトルも熱い.エルモア・ウッドの未来登場は最高.マリーは可愛い.八雲祭みたいなダメっぽくて頼れる師匠もいる.敵のセフィロトまでカッコいい.
これだけ揃ってるんですよ?
あと最後の核心だけ,僕の頭にぶっ刺してくれ.頼む.そこで「そういうことだったのか!」まで持っていってくれたら,PSYRENは僕の中で「昔めちゃくちゃ好きだったジャンプ漫画」から,本当に最高傑作候補まで行くかもしれません.
逆にアニメでも終盤を爆速で駆け抜けたら,
15年待ってそれかよ.
って言います.ぶっちゃけ,それくらい期待しています.今回調べ直して,PSYRENを好きだった理由も,最後だけ妙に記憶が薄かった理由も,なんとなく分かりました.アニメを見終えたとき,今度こそウロボロスまで鮮明に覚えていたら最高です.
以上,ご清聴ありがとうございました.
参考資料
・TVアニメ『PSYREN -サイレン-』公式サイト
・集英社『PSYREN -サイレン-』8巻,11巻,12巻,14巻,16巻
・少年ジャンプ+『PSYREN -サイレン-』
・ジャジャン研『PSYREN -サイレン- 少年ジャンプ掲載データ』
