「男性育休は1人目と2人目で何が違う?」というテーマについて,ヌクレ博士が研究します.
僕は第一子と第二子が生まれたとき,それぞれ約1か月ずつ育休を取りました.期間はほぼ同じです.でも,やっていたことは全然違いました.
1人目は初めてのボス戦.2人目はフル装備だけど,相手も強くなったボス戦です.
2人目のときには料理もできたし,おむつも替えられたし,寝かしつけもできました.育児スキルだけを見れば,1人目よりはるかにマシです.それなのに,辛かったのは2人目でした.
理由は簡単で,赤ちゃん以外の仕事が増えすぎたからです.
では蓋を開けてみよう.
1人目と2人目では,僕の担当が全然違った
先に2回の育休を並べると,こんな感じです.
| 1人目 | 2人目 | |
|---|---|---|
| 育休期間 | 約1か月 | 約1か月 |
| 家事と育児 | ほぼ初めて | 一通り経験済み |
| 主な担当 | 家事と赤ちゃん | 第一子と家事 |
| 仕事上の立場 | 一般社員 | 管理職 |
| 辛さの正体 | 何も分からない | やることが多すぎる |
1人目は,何をすればいいのか分からない.2人目は,何をすればいいのか分かっているけど,やることが多すぎる.
僕の場合,2人目の育休で主に相手をしていたのは赤ちゃんではありません.第一子です.
1人目の育休で,ようやく家事を覚えた
1人目が生まれる前の僕は,ぶっちゃけ家事をほとんどしていませんでした.当時は妻がパートだったこともあり,家事は基本的に妻がやっていました.料理もしないので,妻の代わりのときは外食すればいいと思っていたくらいです.
でも,妻と赤ちゃんが退院してくると,そんな生活は終わります.自分一人の飯を適当に済ませるのと,産後の妻にちゃんと食べてもらうのは全然違いました.掃除も洗濯も料理も,やるしかありません.
特に掃除と洗濯は,妻と僕で合格ラインが違いすぎました.妻はかなり綺麗好きなので,掃除機のかけ方から洗濯物の扱いまで指摘が入ります.
たぶん一度も合格していません.
一番できるようになったのは料理です.産後の妻がすぐ食べられるように,作り置きをまとめて作るようになりました.その習慣は今も残っていて,土日には僕が作り置きをしています.育休前にはほとんど料理をしていなかったので,これはかなり大きな変化でした.
赤ちゃんのお世話では,僕より慣れていた妻をかなり頼りました.それでも,おむつ替えや寝かしつけを自分でやった経験は残ります.2人目では赤ちゃんが泣いても以前ほど慌てなくなりました.
ちなみに1人目では,借り物のバウンサーを使っていました.赤ちゃんの居場所を作れるので,これはあった方が明確に楽でした.2人目では家が手狭になって買い直しませんでしたが,置き場所があるなら便利だと思います.
2人目では,僕が第一子と家事を引き受けた
2人目では,妻が第二子,僕が第一子と家事を担当しました.赤ちゃんのお世話をきれいに半分ずつ分けたわけではありません.第一子の幼稚園,飯,風呂,遊び相手と,家事のほぼ全部が僕の仕事です.
この分け方にしたのは,僕の頭に残っていた強烈なたとえも関係しています.
「第二子が生まれるのは,第一子からすると,自分のパートナーが不倫相手を家に連れてきて,一緒に暮らし始めるようなもの」
どこで聞いたのかは覚えていません.科学的に正しいのかも分かりません.ただ,言いたいことはものすごく分かりました.
自分が頼んだわけでもない赤ちゃんが突然家に来る.親はその赤ちゃんばかりを見る.しかも上の子には「お兄ちゃんなんだから」と我慢まで求められる.そりゃ第一子からしたら,知らんがな,という話です.
だから僕は,少なくとも「パパは今までどおり自分のことが大好きだ」と第一子に感じてもらおうと思いました.僕が第二子を構っていると,第一子がやたら話しかけてきたり,寂しそうにしたりすることもあったので,第一子がいる時間はなるべく第一子を優先しました.
妻の入院中は僕が第一子を見て,母にも手伝いに来てもらいました.退院してからも,幼稚園の送り迎え,食事,風呂,遊び相手は続きます.赤ちゃんが増えても,第一子の生活は一日も止まりません.
今のところ大きな赤ちゃん返りはなく,今でも「パパ,パパ」と僕のところへ来ます.これが僕の担当方法のおかげなのか,単に本人の性格なのかは分かりません.でも,我が家ではこの分担でよかったと思っています.
赤ちゃんのお世話だけなら,2人目の方が明らかに楽でした.こちらも一度経験していますからね.ただし,第一子と家事まで全部合わせると,仕事量は2人目の方が多い.フル装備にはなったけど,敵が一体ではなくなっていました.
2回目は管理職だったので,休むまでが面倒だった
仕事側の事情も変わりました.僕の会社は男性育休に比較的前向きです.1人目のときは一般社員だったので,「ぜひ取りなさい」という雰囲気でした.重たい仕事を外してもらい,関係する数人に引き継げば何とかなりました.
ところが,2人目では管理職になっていました.自分の仕事だけを誰かに渡せば終わりではありません.僕が1か月いなくても組織が回るようにして,周囲の管理職にも頼んでおく必要があります.
上司に相談したときには,「管理職で取るやついないよ」と言われました.
ぶっちゃけ,クソ腹立つ.
会社は男性育休に前向きなのに,管理職になった途端に取りにくくなる.制度があっても,立場が変われば空気も変わるんですね.何度かお願いして,最終的には約1か月取りました.
キャリアへの不安もありました.1人目の育休を取った時期には,実際に評価が下がっています.会社から「育休を取ったから下げた」と言われたわけではないので,育休が直接の理由だとは言えません.でも,仕事に使える時間が減れば成果を出しにくくなる,という不安は普通に残りました.
お金の問題もあります.現在は,夫婦ともに14日以上の育休を取るなどの条件を満たせば,出生直後の最大28日間は給付率80%となり,社会保険料免除や非課税も含めて「手取り10割相当」とされています.ただし,賞与や会社独自の手当まで必ず維持されるわけではありません.
僕は本当なら,もう少し長く休みたかったです.それでも仕事とお金を考えた結果,実際に取ったのは約1か月でした.男性育休は,「取る気があるか」だけでは決まりません.
2回取って思う.育休中の父親は家で働け
妻からは,1人目も2人目も「1か月では足りない」と言われています.同時に,「いなかったら無理だった」とも言われました.我が家は里帰りに頼れず,2人目では第一子の幼稚園まであります.単純に人手が足りませんでした.
だから男性育休は,何日休んだかだけを見ても仕方がないと思っています.育休を取った父親が家で何をしていたのか.そっちの方が大事です.
育休を取ったのに,家で大して働かない父親の話をたまに聞きます.
それは働け.
産後の家事と育児を,何でも半分ずつにする必要もないと思っています.妻は出産した直後ですし,我が家では授乳という妻にしかできない仕事もありました.だったら僕にできる家事や第一子の世話は,僕が多めにやればいい.インフルエンザで寝込んでいる相手に,「普段は半分ずつだから」と家事を渡すのか,という話です.
1人目の育休で料理を覚え,赤ちゃんのお世話もできるようになったから,2人目では第一子と家事を引き受けられました.育休は,産後の妻を一時的に手伝って終わる期間ではありません.その後も家事と育児を自分の仕事として続けるための実地訓練だったと思っています.
ただ,2人目の育休の後半には,僕自身も明確に元気がなくなりました.キャリア,お金,自分が仕事で必要とされていないような感覚.いろいろ重なっていましたが,誰にも話しませんでした.復帰後は仕事も猛烈に忙しく,家庭も落ち着いていなかったので,睡眠を削って何とか回していました.
これは普通に失敗でした.
産後の妻を支えるのは大事です.でも,父親が誰にも話さず一人で潰れる必要はありません.僕は話さなかったので,今なら危なくなる前に誰かに話せと言います.この話は長くなるので,父親側のメンタルについては別の記事で改めて考えます.
1人目は,何も分からない.2人目は,分かっているけど忙しい.同じ約1か月の男性育休でも,中身は全く違いました.
それでも,もう一度同じ状況になったとしても,僕は育休を取ります.1人目では家事と育児を覚え,2人目では第一子の生活を守りながら家庭を回せたからです.
1人目は初めてのボス戦.2人目はフル装備だけど,相手も強くなったボス戦.どちらも逃げずに参戦してよかったです.
以上,ご清聴ありがとうございました.
