「ヒロアカの名言から仕事で学べることは何か?」というテーマについて,ヌクレ博士が研究します.
『僕のヒーローアカデミア』には,仕事や人生に刺さる名言がたくさんあります.「なりてえもんちゃんと見ろ!!」「世の中笑ってる奴が一番強いからな」,そして作品を象徴するPlus Ultra.
ただ,僕がヒロアカから仕事で一番学んだことは,名言を一つずつ覚えることではありません.
本気で人と仕事をするなら,衝突まで避けるな.
これです.
ヒロアカは,本気の人間が本気でぶつかる漫画です.デクと爆豪も,トガとお茶子も,考え方や立場が違うからぶつかる.でも,相手をどうでもいいと思っているからぶつかるわけではありません.むしろ相手を見ているから,面倒なところまで踏み込む.
僕はそこに,仕事でも大事なものがあると思っています.
ただし,会社でヒロアカみたいに真正面から殴り合うわけにはいきません.上司と部下には力関係もあるし,強い言葉は普通に人を傷つけます.
だから僕の結論は,少し現実向けに変わります.
気を遣って,喧嘩しろ.
では蓋を開けてみよう.
ヒロアカの名言が仕事に刺さるのは,本気の人間がぶつかる漫画だから
ヒロアカの登場人物は,みんな思いが強いです.
デクも爆豪も轟もお茶子も,敵側のトガやトゥワイスまで,自分の中にかなり強いものを抱えています.だから衝突するし,傷つくし,それでも相手から逃げません.
特に僕が分かりやすいと思うのが,デクと爆豪です.
二人とも目指している場所はかなり近い.でも,考え方も方法も執着の仕方も全然違う.だから何度もぶつかります.そして,ぶつかったからこそ,相手が何を考えているのかが少しずつ見えてくる.
仕事では,この衝突をかなり避けます.
当たり障りのないことを言う.会議では反対しない.終わったあとで別の場所に行って本音を言う.相手が上司なら,さらに言わない.
揉めなければ「いい人」ではいられます.
でも僕は,それではいいチームにならないと思っています.
ぶっちゃけタイム開始です.
何も言わなければ,そりゃ嫌われにくいです.
でも,何も決めず,何も主張せず,誰ともぶつからなければ,現状も変わりません.自分の思いをぶつけないと変わらないことは普通にあります.
僕は,本当に相手と一緒に良い仕事をしたいなら,言いにくいことを言う場面も必要だと思っています.
そこまで含めて愛なんじゃないかと思っています.
「なりてえもんちゃんと見ろ!!」は,喧嘩の目的を間違えるなという言葉に見える
仕事で思い出すヒロアカの名言の一つが,轟が飯田へ言った「なりてえもんちゃんと見ろ!!」です.6巻53話,ヒーロー殺しステインとの戦いで出てきます.
飯田は兄を傷つけられた怒りに引っ張られ,本来自分が目指していたヒーロー像から外れかけています.そこで轟は,目の前の怒りではなく,自分が何になりたいのかを見ろと伝えます.
これ,仕事でもかなり大事だと思っています.
反対されたから引きたくない.嫌いな相手を言い負かしたい.自分の提案を何としてでも通したい.揉めているうちに,目的が「仕事を良くする」から「相手に勝つ」へ変わることがあります.
僕自身,揉め事の真ん中にいることは結構あります.だからこそ,ぶつかることと,相手を倒すことは分けないといけないと思っています.
本来の目的は,チームや仕事を前へ進めることです.
だから僕の仕事での答えは,こうなります.
気を遣って,喧嘩しろ.
言うべきことは言う.でも,相手を潰すためには言わない.自分が正しいと証明することをゴールにしない.相手がどう受け取るかまで考える.
会社では,ヒロアカほど真正面からぶつかれません.特に管理職なら,こちらが思っている以上に言葉が強く届くことがあります.「本気だから」「相手のためだから」で強い言葉を正当化したら,それは普通に危ないです.
だから「喧嘩しろ」だけではダメです.
気を遣う.でも,言うべきことまで消さない.
僕はこのくらいが,現実の会社ではちょうどいいと思っています.
トガとお茶子から学んだのは,向き合うことも愛だということ
ヒロアカが大人になってから刺さる理由は,ヒーロー側だけではありません.
僕はトガがかなり好きです.
トガには,「自分の好き」をそのまま好きと言えない生きづらさがあります.本人にとって自然な感情を周囲に否定され,普通に振る舞うよう求められる.もちろん,だから犯罪が許されるという話ではありません.でも,あの苦しさ自体は分かります.
てかさ,たぶん変人って言われたことある人は全員刺さるのよ.トガちゃん.みんなどこかで偽りの自分で過ごしてて,そこに息苦しさを感じてる.そしてキラキラ幸せな世界にいる人にそっちのルールで、私をかわいそうな人間にするな!ってのはわかりすぎて辛い.
生きやすく生まれただけのくせにッッ!
ほんとにそうなのよ.俺もみんなに思ってるよ.自分らしくいるのが許されているだけの人って多いよね.わかるよ.だから暴走して暴れちゃう.死ぬほどわかるよ.
そして,お茶子は最後までトガから逃げません.
相手の行動を全部肯定するわけではない.でも,「敵だから」で切って終わらせず,何を思っていたのかを知ろうとする.
僕はここがものすごく熱いです.
大人になると,面倒なものを避けるのがうまくなります.揉めている人から距離を取る.難しい人なら別の誰かへ渡す.重い感情には「仕事なので」と線を引く.
合理的です.僕だって全部に付き合えるとは思いません.
でも,本当に相手を引き上げたいなら,少し面倒なところまで踏み込まなければならないこともあると思っています.
優しくするだけではない.必要ならぶつかる.相手のために言いにくいことを言う.自分が少し傷つくかもしれなくても,面倒なところまで行く.
仕事でも,部下やチームメイトにはできるだけそうありたいと思っています.
志村菜奈は本当に師匠.
志村菜奈の「世の中笑ってる奴が一番強いからな」という言葉
11巻92話では,人を助けるなら命だけでなく心まで助けたいという流れの中にあります.
これね.好きです.
人生辛いこと多いんですよ.特に管理職になるとマジで板挟み.人に言えないことも多い.だから一人で抱え込んで辛くなるんですよ.そんなときにいつも思うんです.笑ってるやつが一番強いって.
僕はこの言葉を,単純な「辛くても笑え」という根性論では読んでいません.
笑ってられるってことは,きっと限界を迎えているから.全力を出したから.辛い現実に立ち向かおうとしているからだよな.と.爆豪も難しい場面でいつも笑っている.皮肉にもオールマイトの教えを体現してるのって爆豪なのかなって思っちゃいます.自分は爆豪大好きです.
だから仕事でも思い出すんです.
今辛くて仕方ない,だから笑おう.笑ってるやつが一番強いから.
現実の会社では「本音を言う場」そのものが消えやすい
ここまで読んで,「そんなに本音をぶつける場面なんてある?」と思う人もいるかもしれません.
実際,大きな会社では,本音を言う以前に,そもそも全員が話せる場になっていないことがあります.
参加者が増えすぎた会議では,「自分が言わなくても誰かが言う」「この人がいるなら任せよう」が起きます.聞くだけ参加者が増えると,本来しゃべる人まで黙ります.
僕は別の記事で,「参加するなら,当事者として話せ」と書きました.
ヒロアカみたいに叫ばなくていい.殴り合う必要もない.でも,議論するために集まったのなら,自分の意見まで消す必要はありません.
本音を言える人数にする.言う必要がある人が当事者として参加する.そのうえで,必要な衝突を避けない.
僕がヒロアカから仕事へ持ってきたいのは,派手な喧嘩ではなく,こっちです.
Plus Ultraは,ぶつかったあとも前へ進むための言葉
そして最後に,僕にとってヒロアカで一番大事な言葉がPlus Ultraです.
そりゃそうですが笑
僕はこの言葉を仕事でも普通に使います.資料にも使うし,人を励ますときにも使うし,自分を奮い立たせるときにも使います.そのくらい人生で大事な言葉です.
今回の記事で言えば,本気でぶつかること自体がゴールではありません.ぶつかって,失敗して,反対されて,それでも前へ進むための言葉です.
僕は会社はなぜ挑戦しない?「挑戦は評価される」のに誰も動かなくなる理由で,新しいことを始めると,確認や「念のため」が増え,挑戦そのものが始まらなくなることを書きました.そこでの僕の結論は,完璧にしてから動くのではなく,小さくてもまず形にすることです.
批判されたら直せばいい.失敗したなら,それも挑戦した証拠です.
これはヒロアカから借りた仕事論ではありません.僕が実際に仕事をしてきて持つようになった考えです.
でも,ヒロアカを見ると,すごく同じ方向を向いていると思います.
そして少し勇気が出なそうなときに思い出すんです「Plus Ultra」
本気ならぶつかることもある.相手を大事にするなら,面倒なところまで行くこともある.ただし現実では,ちゃんと相手に気を遣う.そして,ぶつかったところで止まらず,さらに向こうへ行く.
だから,ヒロアカの名言から僕が仕事で学んだことを一言にするなら,これです.
気を遣って,喧嘩しろ.
そのうえで,Plus Ultra.
以上,ご清聴ありがとうございました.
参考資料
・堀越耕平『僕のヒーローアカデミア』6巻 No.53.
・堀越耕平『僕のヒーローアカデミア』11巻 No.92,No.93.
・集英社『僕のヒーローアカデミア』書誌情報.
・TVアニメ『僕のヒーローアカデミア』公式サイト.
