3歳は時間をどこまで理解している?「昨日」「明日」「何月?」だらけの息子を研究した

3歳の子どもが父親と一緒に絵本を読みながら,「昨日」「明日」「何月?」など時間に関する言葉を考えている様子を描いたイラスト

「3歳児って,時間をどこまで分かってるの?」というテーマについて,ヌクレ博士が研究します.


この記事を書いた人

ヌクレ博士と家族
ボス3歳:電車・お魚・虫が好き
クイーン0歳:標準よりも大きい
ママ・パパ:子供たちが大好き

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うちのボス3歳は,「昨日」「今日」「明日」という言葉を普通に使います.ところが話をよく聞くと,1か月くらい前に行った旅行も「昨日行った」と言うし,数日後でもずっと先でも「明日する」と言う.訂正すると聞き返して言い直すので,適当にしゃべっているわけでもなさそうです.

一方で,「今度旅行に行くよ」と言うと「何月?」と聞いてきます.「10月だよ」と答えると納得するのに,翌日には「今日10月?」とまた聞いてくる.「あと3回寝たら旅行だよ」と伝えれば「分かった」とは言うけれど,次の日に自分から「あと2回」と数え直すことはありません.

分かっているような,分かっていないような.

大人にとっては,「昨日は1日前」「明日は1日後」「10月は9月の次」なんて当たり前です.子どももそのうち普通に分かるものだと思っていましたが,よく考えたら時間ってかなり抽象的です.そこで今回は,3歳の時間感覚が実際にはどんなふうに育っていくのか調べてみました.

では蓋を開けてみよう.

うちの3歳の時間感覚は,かなりチグハグだった

まず,今のボス3歳が時間をどう扱っているか整理すると,こんな感じです.

テーマボス3歳の様子
過去1か月前の旅行でも「昨日」と言う
未来数日後でもかなり先でも「明日」と言う
月・日付楽しみな予定には「何月?」と聞く.「今日は何日?」に答えられることもある
日数「あと3回寝たら」は分かったと言うが,翌日に自分で2回へ更新する様子はない
順番「あとで」と言うと「お風呂入ってから?」「起きたら?」と確認する
曜日月〜日の並びは言えるが,曜日同士の関係は分かる場所と分からない場所がある

こうして並べると,「時間が分かる/分からない」の二択では説明しにくいです.「昨日」は盛大にズレるのに,「あとで=今ではない」は分かっていそうだし,「何月?」という聞き方も覚えている.

さらに面白いのが,時間をしつこく確認するのは旅行など楽しみな予定が多いことです.嫌な予定は説明すれば半べそになりながらも納得しますが,自分から「何月?」「明日?」とはあまり聞きません.楽しい予定については何度も聞いてくるので,僕は「やっぱりまだ分かってないんだろうな」と思いつつ,「そんなに楽しみなんだ」とちょっとうれしくなります.

以前,答えを知っているのに同じ質問を繰り返す理由も調べましたが,今回の「今日10月?」は同じ理由だと決めつけない方がよさそうです.本当に時間の距離が分からず確認している可能性もあるし,楽しみだから何度も確かめたい面もあるかもしれません.

→ 3歳はなぜ同じ質問を何度もする?答えを知っているのに聞く息子を研究した

調べてみると「時間が分かる」は一つの能力ではなかった

時間について調べると,最初に思っていたより話が複雑でした.

2026年に『Child Development』へ掲載された研究では,アメリカとカナダの3〜4歳児を対象に「昨日」「明日」の理解を調べています.すると3歳児でも,自分が実際に経験した出来事について尋ねられた場合には「昨日」「明日」の意味を理解できていました.ところが仮想的な時間軸を使う課題では,4歳児でも苦戦する子がいました.

つまり,3歳だから「昨日」「明日」が分からない,とは単純には言えません.同じ子でも,自分の経験について考えるのか,頭の中で抽象的な時間軸を操作するのかで結果が変わるわけです.

さらに2017年の研究では,3〜8歳児に「昨日」「明日」「先週」などを時間軸上へ置いてもらい,過去か未来か,どちらが先か,今からどれくらい離れているかを分けて調べています.この課題では,過去・未来の方向と順序について大人に近い理解が現れるのが4〜6歳頃だった一方,今からの距離を大人のように表せるようになるのはさらに遅く,7歳以降でした.

ここで大事なのは,この年齢を「3歳はできない,4歳ならできる」という発達表として使わないことです.研究ごとに課題も言語も違いますし,2026年の研究が示したように,実生活では実験課題より早く理解が見えることもあります.それでも,「時間の方向」「出来事の順番」「今からの距離」は同じ能力ではない,という点はかなり重要でした.

「日にちの間隔が分かるまで時間がかかる」という仮説はかなり近かった

僕の最初の予想は,「昨日や明日という言葉は使えても,何日前・何日後という日にちの間隔が分かるようになるまでには時間がかかるのでは?」でした.

調べた範囲では,これはかなり近そうです.ただし,「3歳児は日数を理解できない」と断定できるわけではありません.先ほどの研究でも,過去・未来の方向と,現在からどれくらい離れているかという距離は分けて扱われていて,後者の理解の方が遅く発達していました.

ボス3歳の「1か月前も昨日」「ずっと先も明日」は,まさに距離が圧縮されているように見えます.過去側の出来事は大きく「昨日」,未来側の出来事は大きく「明日」という箱へ入れて,その箱の中の細かい目盛りはまだ作っている途中なのかもしれません.

ただ,ここはあくまで我が家の観察からの考察です.2017年の時間軸課題が,ボス3歳の頭の中をそのまま測ったわけではありません.

「あと3回寝たら」も同じです.本人は「分かった」と言いますが,翌日に自分から「あと2回」とはなりません.今回調べた範囲では,「あと何回寝たら」という言い方そのものを3歳児で直接検証した研究は見つけられませんでした.なので,「この説明は3歳には理解できない」とまでは言えません.

でも少なくとも,「分かった」と返事ができることと,日数の距離を頭の中で更新できることは別かもしれない.ここは親として結構大事なポイントだと思いました.

曜日や日付は,言えることと使えることが別だった

ボス3歳は曜日の並びも覚えています.きっかけは,パパが好きなSHISHAMOの「明日も」を家でずっと歌っていたことでした.歌から月曜日から日曜日までの並びを覚えて,さらに「土日はパパが休み」と教えているので,金曜日から月曜日あたりの関係はかなり分かっています.

一方で,週の真ん中は歌を思い出さないと次の曜日が出てこないことがあります.全部言えることと,「水曜日の次は何曜日?」へすぐ答えられることは別らしい.

日付も似ています.僕は幼稚園で毎日日付に触れているからかなと思っていますが,「今日は何日?」に当てられることはあります.でも,今日の日付が分かったからといって,「旅行まであと何日」を計算できるわけではありません.

研究では,曜日・月・時計のようなものを「慣習的な時間」の体系として扱います.レビュー研究では,子どもは曜日や月をまず言葉の並びとして覚え,その後にそれぞれの位置関係や間隔を扱えるようになっていくと整理されています.また,こうした曜日・月・時間単位は,日常会話や周囲からの明示的な学習を通して身につけていく面が大きいと考えられています.

歌で曜日のリストは覚えられる.「土日=パパ休み」は実生活とつながっているから分かる.でも,カレンダー全体を頭の中で自由に動かすところまではまだ別の話なんでしょう.ここも「覚えた」と「時間として使える」の間に段差がありそうです.

「あとで」が嫌なのは,意味が分からないからではなさそう

ボス3歳に「あとでね」と言うと,嫌がります.でも様子を見ていると,「あとで」の意味が分からなくて嫌がっている感じではありません.「お風呂入ってから?」「起きたら?」と聞いて,今ではない未来のどこなのかを確認してきます.

「ちょっと待って」なら普通に待てます.本人なりに「ちょっと待って」は短く,「あとで」はもっと先だと感じているように見えます.

研究でも,幼い子どもはまず時計や日付のような抽象的な単位ではなく,日常の出来事の順番を手掛かりに時間を扱うと考えられています.3歳頃でも,誕生日会や昼食のようなよく知った出来事なら,その中で何が先で何が後かを順番に話せるという報告があります.

「お風呂のあと」「起きたら」は,まさに生活の出来事を使った時間です.何月何日より,こっちの方が先に分かっていても不思議ではありません.

そして我が家の場合,「あとで」が嫌な理由はたぶんもっと単純です.

今やりたい.

意味は分かっている.でも待ちたくない.「理解できる」と「喜んで受け入れる」は別問題でした.

まとめ|時間って,思っていたよりずっと高度だった

今回調べてみて,3歳の時間感覚を「まだ分からない」でまとめるのは雑すぎると思いました.ボス3歳の場合,「昨日」「明日」という言葉は使うし,「あとで」が今ではないことも分かっていそうです.曜日の並びや日付のラベルも少しずつ覚えています.一方で,1か月前も「昨日」になり,かなり先も「明日」になる.今日の日付が分かっても,そこから予定までの日数はまだ計算できません.

研究を見ても,過去・未来の方向,出来事の順番,現在からの距離,曜日や月などの慣習的な時間は,一枚岩ではありませんでした.課題や経験によって理解の見え方も変わります.

しかも,時間そのものと,カレンダーや曜日は同じではありません.過去と未来は人間がカレンダーを作る前からありますが,「月曜日」「10月」「14日」といった区切り方は,人間社会が共有している道具です.機械時計のような均一な時間の扱いも,人類史の中では後から発達してきたものだという議論があります.

そう考えると,ボス3歳が少しずつ覚えていくこともすごいし,そもそも人類がこんな抽象的な仕組みを作って,みんなで共有して使っているのもすごい.

人間,よくこんなの普通に使えるようになったな.

僕は聞かれたら,「明日じゃなくて日曜日だよ」「10月だよ」「あと3回寝たらだよ」と一応ちゃんと教えています.一生懸命聞いてくれるからです.一度で理解しているかは分かりませんが,何度も聞いて,何度も教えて,いつの間にか普通に使えるようになっていくんでしょう.

文字や言葉を覚えていく過程も同じように面白くて,ボス3歳が漢字をどう覚えていったかも以前研究しています.

→ 3歳で漢字が読めるのは珍しい?「のて」「ひとくち」から考えた幼児の文字の覚え方

今の僕の結論は,「3歳は時間が分からない」のではなく,「時間という巨大な仕組みを部分ごとに覚えている途中」です.

そして,旅行が楽しみで「今日10月?」と何度も聞いてくるうちは,何回でも答えておこうと思います.分かっていないんだろうなと思いつつ,そんなに楽しみなのかと思うと普通にうれしいので.

以上,ご清聴ありがとうございました.

参考文献・参考資料

・Maheshwari U, Barner D. “Back to reality: Children’s early temporal reasoning applies to real but not hypothetical events.” Child Development. 2026;97(1):248-260. doi:10.1093/chidev/aacaf019

・Tillman KA, Marghetis T, Barner D, Srinivasan M. “Today is tomorrow’s yesterday: Children’s acquisition of deictic time words.” Cognitive Psychology. 2017;92:87-100. doi:10.1016/j.cogpsych.2016.10.003

・Zhang M, Hudson JA. “The Development of Temporal Concepts: Linguistic Factors and Cognitive Processes.” Frontiers in Psychology. 2018;9:2451. doi:10.3389/fpsyg.2018.02451

・Labrell F, Câmara Costa H, Perdry H, Dellatolas G. “The Time Knowledge Questionnaire for children.” Heliyon. 2020;6(2):e03331. doi:10.1016/j.heliyon.2020.e03331

・Forman H. “Events and children’s sense of time: a perspective on the origins of everyday time-keeping.” Frontiers in Psychology. 2015;6:259. doi:10.3389/fpsyg.2015.00259